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#1 原因と要因
Satiena
ゴトゴト揺れているなと思い、そういえば馬車の上だと思い出す。
連日の睡眠不足が祟っていて、柔らかい日差しが睡魔を呼び寄せる。
ちょっと油断するとすとんと寝てしまいそう。
「…ん? なに?」
ふと体を引き寄せられて隣に尋ねる。
まずい。起きなきゃ。
そう思ったら瞼の上に少し冷たい手が置かれた。
「寝ておけ」
ここ最近で聞きなれた声は、これまでにないくらい穏やか。
あ〜ダメ。本当に眠い。
陽気のせいもあるけど、アキードにも要因はありそう。
episode「明らかになる道1」
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#2 不機嫌の理由
Alicia
眠気というものをどうやら知らない様子だった。
最初はえらく不機嫌だなと思っていた。
眉を微かに寄せて、一点を見つめていたからだ。
だが今は、その眠気というものを覚えたらしい。
「アリシア」
名を呼ばれ、視線をやるとやはりどこか不機嫌そう。
「眠いのですか?」
問いに小さく頷く様は外見年齢相応である。
今日は実にいい天気だ。
必至に眠気を堪えている様子は実に可愛い。
この時ばかりは頭を撫でると気持ちよさそうにしてくれる。
さて、では寝る場所を確保せねば。
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#3 安心の同義語
Snowliru
白い絨毯にごろりと横になる。
近くにいたカタリナが何か言っているけど、よく聞こえない。
だって、ほら。
ほわほわした暖かい風が心地よくて、瞼を閉じれば夢の中。
「スノーリル様?」
優しい問いに無条件に頬が緩む。
微かなため息と同時にゆっくり髪を撫でられる。
昔から変わらない仕草にくすぐったくなるのは内緒。
ねえ、カタリナ。
いつだってカタリナは暖かくて、私に安心をくれる。
そう、この陽だまりと同じ。
「陽だまり」 (2008/04-2008/06)