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#1 ふわりと降るは
Alicia & Baroque
ひらりと、空から白いものが落ちてきた。
「アリシア」
曇天の空を見上げたまま声をかける。
「はい。どうしました?」
すぐに返る声が小さく「ああ」と息を吐き出した。
「雪ですね」
「雪?」
「ん〜。雨が凍ったものです」
問えば少し考えてから答えがくる。
「雲が落ちてくるわけではないのか」
その答えにそう呟くと、ふわりと柔らかい感触が降る。
「それもあながち間違いではありません」
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#2 同じ白でも
Snowliru & Cloud
いつも、降り始めは憂うつになる。
「降りだしましたね」
「うん」
故郷では大粒で、ぼたぼたと降ってくる。
しかしここではとても小さく、まるで草花の飛ばす綿毛のよう。
「綺麗ね」
不思議と、そう心から思えた。
「こちらの雪はすぐに消えるそうです」
「そうね。暖かいもの」
穏やかな声にそう答えると、ふいに腰に手が回った。
「?」
振り返ると視界には対照的に黒。
「リルは消えるなよ?」
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#3 本当は雪よりも
Yukino & Kizaki
「うん。雪だから」
そんな理由により呼び出されて、いつもの喫茶店。
「木崎さん」
降り出して、まだ誰も踏んでいない雪を踏んで進む先。
喫茶店の店の前にその人は立っていた。
「いらっしゃい」
にっこりと微笑むといくつか白いものが髪から落ちる。
「中で待っていればいいのに」
「だって、雪乃さん寒いでしょう?」
「こんなところにいたら木崎さんも寒いでしょう?」
「俺は暖かかったよ」
また微笑んで、ポケットに突っ込んでいた手を差し出した。
「ほら。暖かいでしょう?」
「雪」 (2008/01-2008/03)