ピルピルピル♪
「!?」
ピルピルピル♪
「………」
ピルピルピル♪
「む〜」
ピルピルピル♪
「…やっぱり」
ピルピルッ♪
「…はい」
「なんか嫌そうだね」
「…いいえ。なにか?」
「その微妙な間が気になるんだけど」
「気にしないでください」
「嫌い?」
「何がですか?」
「電話」
「? 好きではないですね」
「じゃあ、会おうか」
「会いません」
「嫌い?」
「だから、何がですか?」
「俺」
「………」
「沈黙するって事は、少なからず嫌われてないってことかな」
「あの……」
「ん?」
「………はぁ。いいえ、何でもありません」
「ため息多いね」
「多くもなります!」
コンコンコン
「?」
コンコンコン
「は〜い」
コンコンコン
「はいはい」
コンコンコン
「どちら、様………」
「三回叩くのはなぜだ?」
「何回でもいいですけど……」
「一回だと誰も出ない」
「そうですか」
「二回だと気づかれないことが多い」
「まあ、家にもよると思いますが」
「三回だと早く出てくる」
「……あの」
「他に呼び出す方法はあるのか?」
「一般的にノックをするのが普通です」
「人間の呼び出し方は面倒だな」
「あの、一つ聞いてもいいですか?」
「なんだ?」
「他のお家でもやってきましたか?」
「ああ」
「まさか、そのまま無言で逃げてきたなんて事は…」
「他の人間に話すことはない」
「………はぁ〜。そうですか」
「どうした?」
「いいえ。少々泣きたくなっただけです」
リンゴ〜ン リンゴ〜ン♪
「あ。きたわ」
リンゴ〜ン リンゴ〜ン♪
「………あの?」
リンゴ〜ン リンゴ〜ン♪
「出るな」
「でも」
リンゴ〜ン リンゴ〜ン♪
「オマエのじいさんが心配してる」
「心配? 何を?」
「あんな軟派なヤロウはダメだとか」
「軟派って。…否定はしないけど」
「オレもあまり会いたくない」
「そうなの? 珍しい」
「そうか?」
「ああ。もしかして人間って嫌い?」
「そうでもない」
「そうなの?」
「………人による」
「ふふふ」
「なんだ?」
「何でもないわ。そんな不機嫌にならなくっても」
リンゴ〜ン リンゴ〜ン♪(怒)
「あの、やっぱり出るわ」
「オレは消える」
「ふふ。はい」